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定期講演会記録25

第25回 中部地雷問題支援ネットワーク講演会
世界の紛争と私たち

アフガニスタンの現状と無差別兵器の脅威

開催日時   平成23年1月30日(日) 午後1時15分~4時15分
開催場所   愛知県青年会館 3階 第9会議室
講  師   清水俊弘
参加者    24名

アフガニスタンの現状と無差別兵器の脅威

アフガンの状況

みなさんこんにちは。JVCの清水です。JVCは設立されて30年が経ちます。昨日東京で設立30周年の記念パーティーをやったばかりで、その足でこちらに来ました。

現在は9カ国で活動していますが、もともとのきっかけはカンボジア難民の支援がきっかけです。

難民救援、難民支援は「出口」のない活動でして、いくらやっても難民はより増えてしまうこともあります。対症療法的な活動に加えて、難民問題の根本問題に迫る活動が必要だと考えています。

ということで、難民が発生した側に入り込んで、難民が出なくなるためにどうしたら良いか、どうしたら紛争が起こらなくなるかを考え考え活動しています。

私たちが地雷廃絶日本キャンペーンに参加したのは、カンボジア、アフガニスタン、コロンビアなど共通した問題を抱えた国々の問題を解決するのに、個別に取り組むより共同して解決の道を探ろうとして参加したわけです。

そして、JCBLの活動も14年目になりました。今日一緒に来ている北川代表を含め何人かのメンバーとともに活動してきました。

私は武器の専門家ではありませんので、対人地雷についてあまり細かなお話はできませんが、そういうモノが使われている背景や、今の状況についてアフガニスタンの状況をお話します。

私自身がアフガニスタンに駐在したのは2002年のことです。その後もたびたび出かけています。今日は昨年行ったときの写真をお見せしながら、アフガニスタンの民間被害の状況、暴力の連鎖を止め、復興をするためにどうしたら良いかを提起させていただき、皆さんのご意見も伺い質疑応答していく予定です。

写真を説明して行きます。これはスティンガー山脈といいまして、私たちはアフガニスタンの一番パキスタンに近いジジャララバードという町で活動していたのですが、この写真は5月のもので、パキスタンから山を越えていくと雪の積もったこういう風景が見えます。

なぜこれが空撮できたかと言いますと、これ以前には私たちは陸路でアフガンに入っていました。イスラマバードからペシャワールを通ってジャララバードに入っていたのですが、ここ数年治安が悪くなって、特に米軍がパキスタンに越境攻撃が激しくなって、一切陸路の移動が禁止になりました。

これは私たちの全てのスタッフに厳命して、必ず全員イスラマバードからジャララバードに国連機を使って降りるという事にしています。

これがジャララバード空港の中の写真です。ここは完全に米軍の拠点になっていますので、自由に写真を撮るというわけにはいきません。

前は原っぱのような空港が、今では完璧に要塞化しています。飛行機に乗るまでに5回くらい検問所を通るようになっています。

にも関わらず、検問所ではしょっちゅう爆発が起こり、なおさら検問が厳重になっています。

ここはジャララバードの市場周辺です。それなりににぎやかで、往来もありますが、こういうところで爆発が起こっています。爆破テロは相変わらず頻発しています。

日常生活が危険と背中合わせになっています。これはすごく暑い時期の写真で果物、アイスクリーム、スイカ、バナナ、マンゴなどが売られています。

宿舎は事務所や国連のゲストハウスなのですが、以前と違う点は土のうが積んである点です。これは一昨年国連の職員宿舎が爆破される事件が起こったためで、今では全ての宿舎が土のうで囲まれています。

そして、警備にはブルカ兵をつかせています。

これが我々の事務所ですが、車で帰った時には必ず車の下を鏡などでチェックします。手製(簡易)爆弾が仕掛けられているかを調べるためです。IED(Improvised Explosive Device)と言います。この簡易爆弾はマグネット式で簡単に車に取り付けられます。

停まっている間に取り付けられてしまうのですね。やっぱり外国人は私たちのような人道支援の人間であっても軍人と混同されます。実際民間人のようでも兵士である可能性もあります。

まあ、帰って来た時に調べても遅いようにも思えますが、リモートコントロール式になっていて、拠点に戻ってから爆発させることもありますから、油断がなりません。かなり、気をつかいます。

先ほどの人通りの多い街角で自爆車が爆発することもあります。

ソフトターゲットという言葉があります。米軍のような重装備のハードターゲットとはまともにやり合っても勝てないので、丸腰の市民を爆発に巻き込んで社会不安の矛先を外国人に向かせるという世論操作をしているのです。

この防弾ランドクルーザーですが、実はまだアフガニスタンに出入りが自由に出来た頃、外務省からこの車の使用を強く進められましたが、私たちはずっと断っていました。なぜでしょう。

じゃ、ちょっと聞いてみましょう。防弾車を使わない方が良いと思う人は。

「はい。」(参加者の一人が挙手)

どうしてでしょう。

「住民から見れば、使えばアメリカ軍と同じに見られますから」

そうですね。私たちもそのように見ています。

一番気をつけているのは目立たないようにする事です。出来るだけ地域の人たちと近いスタイルで動こうとしています。そうして、いろいろな危険を回避しようと言うのが私たちの主な考えです。

もちろん、実際この防弾車を使う事で流れ弾から身を守ることが出来るかもしれません。でも今は重武装の、High-profile(目立つ)格好のものの方がより狙われやすいのです。確率の問題です。

私たちはむやみにこの防弾車を嫌っているのではなく、状況が状況なら使います。ですが現状においては得策でないと考えているのです。

というのも、もしこの車両が狙われたら、逃げ足が遅いし、横からの集中的な攻撃には耐えられないからです。

2003年にイラクで日本の外交官が2名射殺された事件がありました。あれも防弾車だったのですが、横からドアを射抜かれたものです。まあ、狙われてしまったらどうしようもないのですが、現時点で防弾車を使う、使わないでどちらがより安全かを考えて、使わないでいます。この件についてはまだ今後も議論は続きます。

NGOも国連機関もNon-profileを主張しています。防弾車の使用をNGOにまで勧めているのは日本政府だけです。他国はそんなことを強要することはありません。

ペシャワール会の伊藤さんが亡くなったケースは防弾車だったらどうだったかというような文脈の問題ではありません。外務省は自分たちがどれほど安全対策をやっているかというexcuseに近いものがあるんじゃないかと思います。

(写真を示し)ここがジャララバールのターミナルです。ターミナルと言っても簡単な手続きをするだけですが、ここに行くまでがとても大変なのです。

少し前にアフガニスタンのドクターと看護士が研修にきまして、鹿児島の保健所、あるいはお医者さんが往診をするのに同行させてもらいました。

彼らが言うのに、日本のやり方がアフガニスタンと全然違うので勉強になったということです。何が違うかと言いますと、日本人の医師は患者さんに優しいとのことです。

もちろん日本人のお医者さんにもいろいろな人はいるのですが、患者さんの言う事を聞こうとしてちゃんとケアしている。自分たちは上から目線で「おれはドクターだ、偉いんだ」という態度で患者を診ることが多い、と言っています。

アフガン戦争の一番の特徴は普通の人の居る中に爆弾が落とされ、戦闘が行われていることです。果たしてこの戦争に出口はあるのかと考えてしまいます。

民間人の被害は2007年以降ずっと右肩上がりなのです。アメリカも必死に出口を探しています。

オバマ政権になった昨年3万人の増派をしました。そして、東から南部にかけてのタリバンの拠点を集中的に攻撃して、一旦撤退できる環境を作ろうとした訳です。

本当のところ、アメリカは2011年、つまり今年の夏くらいにはもう撤退を始めたいくらいの勢いだったのです。でも、ちょっと裏目にでているようです。客にタリバンたちを勢いづかせてしまったことは、(一連の集中的な攻勢が)逆効果だったと言えると思います。

で、クラスター爆弾については20001年からずっと使われてきましたが、オスロ条約(クラスター爆弾禁止条約)の議論が始まってからは、米軍は使用を控えてきました。

今新聞のコピーをお配りしています。昨年(2010年)12月の毎日新聞の一面です。この記事にはびっくりしました。アメリカがクラスター爆弾の使用を認めよと言っている記事があります。

民間人の被害が出て、せっかくクラスター爆弾の禁止条約ができて、その調印式が2008年12月3日にオスロでありました。

JCBLから、私、内海、目加田が行ってきたのですが、その会場における一番のサプライズは何かと言いますと、絶対サインしないと思われていたアフガニスタン政府が調印したことで、その発表があった時にはワっと会場が割れんばかりの拍手に包まれました。

当日カルザイ大統領自らの電話をもらったと参加者が言っていました。アフガン国内ではクラスター爆弾を禁止しようと強い決意で臨んだのです。それが今更アメリカがクラスター爆弾使用を認めろという圧力をかけてくるのはとんでもない話です。


こんな情勢で再び無差別兵器であるクラスター爆弾を使わなければならない程、アメリカは状況の悪化に焦っているのです。これについては要注意だと思っています。

2008年、2009年、2010年と年々アフガン民間人の犠牲者の数は増えています。
写真のようにロケット弾の破片を集めてNATOに調査を申し入れています。

その他、パキスタン側へのアメリカ軍の攻撃は激化しています。あちら側に有名な司令官(オサマ・ビン・ラディン)がいますので、彼らを何とかしたいと思っているわけです。

無人機のこと

最近TVなどでよく紹介されているのですが、攻撃手段の一つとして無人機を飛ばしてカメラで捉えた目標に遠方からゴーサインを出して爆撃するようなやり方が取られています。

前にNHKスペシャルでやってましたが、ここにこんな怪しげな奴がいてという風にいっていましたが、あれは攻撃する側の映像です。こんな簡単に爆撃出来ると自慢げに語っていましたが、必ずしも正確に武装勢力のみを識別して爆撃できる訳ではないのです。

無人機を使う事の問題はもっとこれから議論されて行かなければならないと思っています。

なぜ、無人機を使うかと言いますと、言うまでもなく国内世論対策です。昨年のアメリカ兵の死亡者数は最高に達しています。

自国民の兵士が死ぬということが国内世論に大きな影響を及ぼすということから、従来フランスでは外人部隊、イギリスにはグルカ兵が出来たのです。そういう自国民を使わないやり方がいろいろなところで有るのですが、アメリカにおいては無人機に置き換えられたということです。

無人機に置き換えることによって、新たな若い兵士をリクルートしやすくなっているのです。ある若い女の子がインタビューに答えていましたが、「これなら私にもできるわ、あんな戦場には行きたくないけれど、これなら出来る」と言っていました。こういう軽い乗りで軍事参加出来るということで無人機が導入されているのだと思います。

でも、それを使われている側にしたら、とんでもない話です。

OEFとISAF

そもそもアフガンの戦争は、アメリカ主導の「不朽の自由作戦」という作戦です。日本もご記憶の通り対テロ特措法という法律を作ってインド洋上での爆撃機への給油を自民党政権時代にやっていたわけです。

そもそも対テロ戦争をやっているのはOEF(Operation Enduring Freedom)という軍隊なのですが、もう一つ治安維持の為の部隊ISAF(International Security Assistance Force)があります。これは国連決議に基づいてアフガニスタンのカルザイ政権を守ろうというものです。国債合意に基づき特にカブール周辺の治安を維持しています。

ただ、今どういう問題が起きているかといいますと、対テロ戦争が地方でうまく行かない、治安がどんどん悪くなるという中で、ここ何年か前からISAFの活動範囲がどんどん地方に分散、展開してきています。カブールだけの治安維持に留まらず、全国的な治安維持活動に拡散してしまっています。

そうすると、どうなっているかというと、OEFとISAFが同じことになってしまっているのです。

対テロ作戦をやっているグループは地方に爆弾を落としているのですが、ISAFも地方に治安維持という名目で爆弾を落としています。

おまけにややこしいのはOEFもISAFも司令官はNATOなのです。そしてNATOのトップはアメリカということです。

アメリカが隠れ蓑のようにISAFを使ったり、OEFを使っているということになっていて、治安維持という名目の対テロ戦争になっている感じです。

話がややこしいのですが、地元の人からみれば、ISAFもOEFも爆撃する外人でしかありません。

こういう状況では「治安維持」がとても上面になっています。実質を伴っていないのです。

さらにややこしいのは、田舎の方で作戦がうまくいかない中で、ISAFやOEFが今何をやっているかと言いますと、「ヘルスチェック」の名目で村に入っているのです。

そもそも軍人は人道支援に手を出すなという原則はあるのですが、実際にはやってしまいました。

私たちは村々の個人宅には入っていきませんが、彼らは入っていくのです。そして、形だけだれかの血圧を測るような振りをして、実は住民の網膜のデータベースをどんどん集めているのです。

この網膜のデータベースを何に使うかと言いますと、どこかで爆弾テロなんかが起った時に犯人が捕まると、その犯人の網膜を調べて手持ちのデータベースと比較して、出身地を割り出すのです。

結果その出身地の村が攻撃されることになるという訳です。

つまり、援助なのか情報収集なのかわからないのです。私たちのようなNGOの行う人道支援とは異なり、軍人がおこなう人道支援は軍事作戦の一環なのです。情報収集ということです。

今はやめていますが、アメリカ軍はかつては援助が欲しければ情報をよこせというビラも配っていました。取引ですね。

軍のこういう行動が原因で、近くの村で活動していたフランスの国境なき医師団のメンバー4名が射殺されるという事件が起りました。

つまり、NGOの中立性が、軍の介入によって失われたのです。

人道支援

私たちはこういう事が起る事を非常に恐れています。人道支援の経験のない軍人が人道支援をすることは混乱を生じさせ、軍事行動と人道支援の境界を曖昧にしてしまうと危機感を持っています。

それで、Civil Military Comity というNGOと軍隊の協議の場でいろいろな具体的な注文を付けてきました。

現在軍は二つの注文を守っています。

一つは、NATO軍は国連と同じ白い車を使って行動するなということです。
もう一つは、NATO軍はNGOが活動している地域に入って来て混乱を招くなということです。

なぜこのようなややこしい話をしてきたかと言いますと、私たちに関係してくる問題だからです。

日本は民主党になってからは対テロ特措法は廃案にして、給油支援という直接的な軍事支援を止めました。それはよかったのですが、民主党もやはり、アメリカとの関係重視なのです。

アフガンがどうのと言う前に、日米関係をどうするかということで出て来たのが50億ドル相当の民生支援なのです。

50億ドルなんていう巨額をアフガンでどうやって使うのという話もあるのですが、一方でオバマ政権になってブッシュ政権の時よりも要請されているのが、自衛隊を出せということです。

日本の自衛隊をアフガンに出せという話がオバマ大統領になってからどんどん増えてきています。

それで日本政府がいくつか考えているアイデアの一つが、昨年(2010年)12月に降って湧いた話が医務官の派遣です。

民主党としては出来るだけ軍事色を薄めたいという意識があて、どう折り合いをつけるかと言う事なのです。

そういうものの派遣先として昨年初めから日本政府がやっているのが、リトアニア軍が展開しているPRTに4人、民間人2人と外務省の職員2人を短期的に繰り返し派遣して、勉強しています。

これがうまく行けばこの枠内で自衛隊を派遣して、小泉政権の時と同じ「復興支援だから良い」という理屈をつけていこうと考えているようです。

こういうことがかなりの確率で起りそうです。私たちはこの動きを懸念しています。なぜ懸念しているかと言うことをこれから説明します。

新たな聖戦

対テロ戦争と言いながらも、数多く死んでいっているのはテロリストではなく、民間人なのです。

民間人が死ぬということは、殺された家族をまた反政府活動に駆り立てる十分な動機付けになってしまいます。

良く言われるのが「100人の人々が殺されると、翌日には新たに100人のテロリストが生まれる」という言葉です。

人を殺し続けても、人を武力で押さえつけようとしても反政府勢力を減らす力にはならないという事なのです。

こういう事で、新たな聖戦という言葉のように反政府勢力の再活性化を呼んでしまったということです。

それをさらに増派して押さえつけようとしたのがオバマ政権なのですが、今年中の撤退は恐らく無理で2014年くらいからの暫時撤退という話になりそうですが、本当にそうなるか疑問です。

こういった状況の中で、日本も含め国際社会から多額の援助が寄せられています。

こういう悪い状況の中で多額の援助が寄せられ、それを使っていこうとすることをどう思われますか。

何ができるかと言ったら、やれるところでやるしか無い、というところです。やれるところといったら、比較的治安維持ができているカブールです。

まったく安全とは言いがたいのですが、地方都市と比べたらまだ目が届きやすいのです。

カブール周辺に集中的にお金が落とされることは止められないということです。

日本が今後数年間で50億ドルの支援を予定していますが、その目玉事業は何か聞いたことがありますか。聞いていないですか。

新聞には何度か掲載されたのですが、カブール首都圏の機能を拡張、充実させる支援です。都市集中型の支援です。

私たちはこういう支援のあり方を懸念しています。なぜならカブールの機能が充実すればするほど、地方都市との格差が大きくなり、地方の不満が増大し、反政府勢力への支持が増大する事に繋がりかねないのです。

加えて地方都市で細々と活動している人道支援団体の活動が軍のTRTのような支援活動参加によって身動きの取り辛い状況になっています。

引き裂かれるような状態になっていて、これは大きな問題だと私たちは考えています。


今後の課題

基本的には人々の命と健康を守っていくことです。その為にはどうやって軍事活動を停止、逓減させていくか、対話を促進させていくかなのですが、
言うは安し、行うは難しの極限のようなものです。

でも、こういう方向で考えなければどうしようもないと考えています。その時に日本は援助をする側として大きな影響力を持っているので、極力軍事的な参加は避けるべきです。

軍人を派遣すれば、彼らが何をしていたとしても、日本もアメリカ同様だと思われてしまうのは不利なことです。

極力中立性を維持すること、紛争当事者にならないで調停役、対話の舵取りとしての立場にいてほしいと我々は考えています。

もう一つは、先ほどお話した地域格差をどう是正していくかです。地方の遠隔地に住む人々の生活インフラを復旧、整備していくことがとても重要なことです。

すぐに改善する訳ではありませんが、継続的にやっていかなければ地方の不満はいつまでたっても解消されません。

そういう意味で国連職員や私たちのようなNGOが地域行政の人達に協力して、外国人がいなくなっても保健サービスや教育サービスが機能していくような仕組みを作っていく事を考えなければならないと思っています。

最後に2枚スライドをお見せして終わりにしたいのですが、私は「国際貢献」という言葉が嫌いです。私たちが良い顔したいなんてことには全く意味がありません。

そんな事より、どうしたら地域の人達のためになるかを考えるべきです。

現状は先ほどからお話ししているように対テロ戦争をやりながら、そして国際貢献みたいなことばで飾った援助を投下しようとしている訳です。

軍事行動と人道支援が同時進行しているのです。

これをある人は相乗効果などと読んでいます。軍事行動しながらでも、支援すれば何とかなるという考えです。ある種の専門家の間では「統合アプローチ」(Integrated Approach)なんてことをしたり顔で言う有名な学者もいます。でも「あなた方は現場を見た事があるのか」と私は彼らに言いたいですね。

これは、私たちから見れば「相殺」してしまっています。むしろ逆効果を生んでしまっています。これが先ほど来お話したことなのです。

で、先程言いましたように、援助の実施範囲に限界があります。どこでも出来る訳ではありません。本当に必要なところに行けているかと言えばそんなことはありません。

また、支援しようとする実施主体にも悪影響を及ぼしています。活動範囲を限定する結果になっています。

それが地域格差、不安定化というものに繋がっていって、それが過激派への支持拡大になるのです。

それによって、結局テロの活性化が進み、犠牲者が増え続け、全ての当事者に疲労感がつもり続けています。

ある種の専門家が統合アプローチなんて呼んで悦に浸っているやり方がこの悪循環を呼んでいるのではないですか、というのが渡したちの意見です。

じゃ、どうしたら良いのかということです。私たちが努力しているのは、軍事活動と人道支援をしっかり分けるということです。だからPRTみたいなことはやめろということです。

中立な立場で、人道支援をやる。そして始めて、地域の人達との信頼関係が築く、基盤ができます。

もう一つ、軍事行動については「危害行動」は極力やらないという事です。つまり対テロ戦争そのものを止めろ。本当に治安維持の方向に収めていくことが必要だと考えています。

そういう事ができれば地域格差の是正に繋がるような活動ができるようになります。

あるいはしっかり治安維持ができるようになって、アクセスも今まで以上にできるようになるかも知れません。

これはとても大変なことで、すぐに実現できるとは思いませんが、そういう方向性が地域の人達に理解されて初めて話し合って行こうという対話の土壌のようなものが醸成されていくと思っています。

すぐに対話といっても無理で、対話の手前でいろいろやっていかないと、そこにたどり着かないというのが私たちの認識です。

その動きが主流になって初めて、武力行使が逓減して、対テロ戦争なんていう先行きの不透明なものが縮小の向きに変わっていくと考えています。

無責任な貢献なんてことを言っていないで、解決すべきことをどうやっていくかを真剣に考えましょうと言うことです。

ただ、悲しい事に多くの国がアフガニスタンに援助、貢献していますが、本当にアフガニスタンのことを思ってやっているかと言いますと皆自分たちの文脈(利害)でやっているのです。

日本は、対米関係の中でアフガニスタン問題に取り組んでいます。これはNATOの国々も同様です。

例えばフランス、ドイツはイラク戦争の時には格好よくアメリカに反対したのですが、アフガン問題では冷戦後のNATOの意義を問う形で参戦してアフガニスタンを利用していると言えます。

どこの国も自分の国の都合でアフガニスタンを利用しているのですが、そうじゃなくて、本当にアフガニスタンの人々にとって良いのは何なのかを考えて行きたいと思っています。

私たちはアフガンでの地域診療所運営、PRTでの軍との協議、日本国内の国会議員への啓発活動などを続けています。

昨年10月にはNGOネットワークの代表者2名を招聘し、国会で議員に政策を話し合う機会を設けました。この中で、彼らがはっきり言ったのですが、アフガニスタンはお金が足りない訳ではない。使われ方、配分、ペースが問題なのだということです。

日本が50億ドル出してくれるのは良いけれど、今すぐそれを無理に使おうとしないで欲しい、しかるべきタイミングでしかるべきところにお金を使う事を考えるのが国会議員の役割ですよ、と言っていました。

ともかく、アフガンの民間人被害を減らして行く為には、やるべき事に順番がありますので、私たちはクラスター爆弾のような武器の使用禁止もやりながら、日本政府の政策面での改善を促すような活動も継続してやって行きたいと考えています。

じゃ、ここまでで私のお話を終わらせていただきます。







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