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定期講演会記録15

第15回 中部地雷問題支援ネットワーク定期学習会
JCBLの「ちょうちょキャンペーン」、その前と、その後

 JCBLは愛*地球博で「ちょうちょキャンペーン」を展開しました。蝶の羽ばたきも、集まれば世界の気候にまで影響する可能性があるという物理学のカオス理論にちなんで、市民の小さなな力がやがて大きなうねりとなって世界中から対人地雷を根絶する力になるように、の願いが込められていました。わずか一ヶ月の間に13,000枚を超える蝶の形の署名が集まりました。
 JCBLはこれらの署名用紙を蝶のレイの形にし、オタワ条約に未加入の国々の在日大使館に、条約への早期加入を求める日本市民の声として持参し、早期加入を訴える対話の糸口にしています。また、JCBLは今年も「ちょうちょキャンペーン」を続けて実施します。
(JCBLとはJapan Campaign to Ban Landmine :日本キャンペーンというNGO)
 以下に 2月12日(日)に開催された第15回中部地雷問題学習会の模様をお伝えします。

開催日時    平成18年2月12日
開催場所    なごやボランティア・NPOセンター
講演(その1) JCBL代表 北川 泰弘
参  加    16名

 御紹介いただきました地雷廃絶日本キャンペーンの北川です。昨年の万博の折には暑い中、名古屋の皆さんんに対人地雷館で大変お世話になりました。この場をお借りして御礼申し上げます。JCBLの運営委員一同、深く感謝いたしております。

 対人地雷館の最大の催しはちょうちょキャンペーンでした。皆さんに大変ご苦労をお掛けして1万3千枚のちょうちょが集まりました。ちょうちょに署名をしていただいた方々には、「この署名はそれぞれの国の大使館に届けて早くオタワ条約に参加するよう呼び掛けます。」とお約束していたのですが、いざ大使館に行くとなると、相手の大使館が我々の訪問を受け入れてくれるか?ちょうちょを受け取るか?等心配が先立ってとても大変でしたので、そのてん末の御報告をしたいと思います。こちらにお持ちしたJCBLのニュースレター第34号は昨年11月に皆さんのお手元にお配りしたものですが、ちょうちょキャンペーンとボランティアに参加された方々のご感想が載っていますので参考にお持ちしました。部数が足りないかも知れませんがご参照ください。

 御承知のようにJCBLはICBLという国際キャンペーンを母体にした世界中の約1400のNGOの一つとして活動しています。JCBLは世界の国々がオタワ条約(対人地雷全面禁止条約)に参加し、地球上から地雷が無くなることを目指してキャンペーン活動を続けています。地雷を掘ったり、地雷で傷を負った人達を直接看護するといった事はしていません。オタワ条約に世界中の国が参加してもらうようキャンペーン活動をしています。

 オタワ条約は他の軍縮条約と違って多数決方式が取り入れられています。ですから国連の軍縮会議と違って大国は拒否権を使えません。拒否権が使えない状況の中で世界で初めて軍縮条約を成立させたと言う事でICBLは1997年にノーベル平和賞を受賞しました。NGOパワーが世界の国々を動かしてオタワ条約を成立させ、ICBLがノーベル平和賞を受賞した時は一般市民の対人地雷に対する関心が最高潮に達していました。しかし、その後、アフガニスタン戦争、イラク戦争、スマトラ沖の津波等々による災害が続き、多数の被災者が出て一般市民の関心はそちらに移り、地雷に対する関心が薄れて行きました。地雷の問題は現在の計算では今後何百年もかけないと解決できない息の長い活動が必要なのですが、運動には波があります。昨年は幸いに愛知万博が開催されましたので、私達は万博を機にまた地雷廃絶の気運の波を作ろうと思いました。しかしながらJCBLのような小さな団体が万博に参加するという事は身の丈に合わない事であり、JCBL内部で参加か不参加かについてかなりの議論がありました。その中でせっかくのチャンスを利用して地雷の問題を皆さんに知っていただこうと積極的に提案した方達がいました。それが女性パワーだったのです。私も押し切られた形で参加しました。結果的に2005年に、JCBLが「愛*地球博」に参加したことは、万博という世紀の大イベントに集まる大勢の人々に地雷問題を思い起こさせ、その解決には長い時間がかかることに気付いて貰うという意味で時機にかなったものでした。

 JCBLの展示の基本コンセプトは、地雷被害者の写真、義足の現物、バーチャル地雷原で地雷の恐ろしさを知り、「地雷廃絶に立ち上がった市民運動のサクセス・ストーリー」を知って貰うことでした。でも、これだけでは物足りないとして、これらの展示を見た人が、「私も立ち上がろう。私は何をすればいいの?」と燃え上がった時、それに応えるものとして用意したのが「ちょうちょキャンペーン」でした。「One Flap, Global Impact」を合言葉に、黄色いちょうちょの形の用紙を来場者に配り、まだオタワ条約に参加していない国あてに、早く地雷禁止に賛成するよう短いメッセージを書いて貰い、壁の大きな世界地図の未参加国の場所に貼り付けて貰ったのです。ちょうちょの羽が起こす風は小さいが沢山集まれば台風の進路を変えるという物理学の理論にならって、「あなたの小さなメッセージも沢山集まれば相手の国を動かしてオタワ条約に参加させられる」という願いを籠めたのです。また、胸に美しい色彩のちょうちょをちりばめ、背中に「One Flap, Global Impact」の合言葉をあしらったTシャツを販売して人気を呼びました。

 この企画は成功し、大勢の来場者の関心を惹いて、7月30日に会場で既に10,000枚を超え、展示最終日の31日の分と、賛同してくれたNGOが会場外で集めたものを合わせて11月末に合計約13,400枚のちょうちょが集まりました。新聞やテレビ、ラジオも大きく報道して呉れました。
 しかし、「ちょうちょキャンペーン」が企画され、実現されるまでは簡単ではありませんでした。色々な考えがあり合意に至るのに数ヶ月かかりました。私自身、JCBLの代表という立場にありながら「One Flap, Global Impact」という合言葉の持つ意味を最初から理解できた訳ではありません。メッセージ用紙を、作成の難しいちょうちょ型にすることを止めて、大量生産できる長方形の短冊にして地雷廃絶の願いを書いてもらい、七夕の竹に吊るしてパビリオンの外周に並べてはと提案をしていました。「ちょうちょキャンペーン」は、万博参加を推進した運営委員、事務局、および協力した大勢のボランティアの方々の労を惜しまない奉仕とアイデアがあって実現出来たのでした。例えば、小さなちょうちょの「色」と「形」と「大きさ」をどうする?大きな用紙からちょちょを切り抜く作業は誰がやる?集まったちょうちょをどういう形で展示する?についても色々なアイデアが提出され、皆で長い時間をかけて議論が重ねられました。
 これらの問題を解決し実行したのも主に女性パワーでした。黄色い用紙を切り抜いて10,000枚近いちょうちょを作る作業はJCBL会員(団体、個人)、会場のボランティア、その他有志の皆さんにお願いしました。来場者にメッセージの書くよう勧誘し書き方を教え、毎晩9時の閉館後に世界地図に貼られた何百枚ものちょうちょをはがし、国ごとの枚数の集計する作業は会場ボランティアの皆さんがやりました。世界地図に貼られたちょうちょを毎晩どうやってはがすかも問題で、それに適した接着テープを探し、はがした ちょうちょにテグス糸とビーズを使ってレイの形に仕上げ壁に美しく飾るよう提案したのもボランティアの方でした。
 約10,000枚のちょうちょは10数個のダンボール箱に詰められて東京のJCBL事務所の片隅に積み上げられました。アメリカあてのメッセージを書いてくれた来場者には、あなたの言葉は東京のアメリカ大使館を通じてブッシュ大統領に伝えますと約束をしました。ちょうちょの作成、来場者への勧誘、集まったちょうちょの整理に労力を提供して下さったボランティアの人たちにも、ちょうちょに籠められたメッセージはオタワ条約への未参加国に伝えるのだと説明をしました。
 子どもから大人までが書いてくれたちょうちょの一枚一枚を読むと素晴らしいメッセージがあり、オタワ条約に参加していない国の大統領に一刻も早く読ませたいです。(メッセージはボランティアの手でJCBLのホームページに入力されました。是非読んで下さい。)

 一方、いざ、沢山集まったちょうちょのダンボールの山をみると、これを誰がどうやって各国の大使館に持って行くか?どうやって訪問の約束をするか?大使館は受け取ってくれるだろうか?誰かツテの有る人に大使館への口利きを頼めないか?等、自分が率先して持って行くよりも誰かを頼りたいという気持ちが先立って、運営委員の腰が上がりませんでした。
 ちょうちょを在日の大使館に渡すよりも、11月の下旬にクロアチアのザグレブで開催される締約国会議に来る未参加国代表に会場で渡しては?そうすればその国の地雷政策担当者にいち早くメッセージを届けることが出来るのでは?という提案がありそれは名案だと飛びつきました。しかし結果としては、米国は欠席、中国は出席でしたがちょうちょを受取りませんでした。

 万博で集めたちょうちょを、少なくともクリスマス休暇前までに各国の大使館に届け、オタワ条約への参加の呼びかけをしなければ、万博来場者とボランティアの人たちへの約束を破ることになり、JCBLの信用を失うことになると、JCBL運営委員と事務局は大使館訪問の約束を取り付けることを真剣に考え始めました。その結果として、ツテを頼らず、主要な国(概ねちょうちょが100羽以上集まった国)の在日の大使に直接の手紙を書いて訪問の約束を取り付けてちょうちょを手渡す、その他のちょうちょの集まりが少なかった国々には大使宛の手紙をつけてちょうちょを郵送することとしました。

 大使あてに直接の手紙を書いて果たして返事が貰えるか不安でした。しかし、思いのほか丁寧な返事を下さった国々があり、2006年2月12日までにパキスタン、フィンランド、イラン、キューバ、ロシア、アメリカ、ベトナム、インド、ラオス、イスラエル、韓国、ミャンマー、シンガポール、イラク(訪問順)の14の大使館とグルジア政府観光局(東京に大使館がない)を訪問し、チョウチョのレイを渡し、オタワ条約への早期参加をうながす万博来場者の声を伝えることが出来ました。第一番に行ったパキスタン大使館では「平和のためには是非協力したい、このチョウチョは本国に送るよう手配してみる」との回答を得ました。当初もっと冷たい対応を予想していたのですが、実際には他の(ロシアやアメリカも)大使館でも丁寧に対応に対応してくれました。ですが、どの国の大使館も「主旨は分かるが、自国の事情で条約には参加できない。」という反応でした。訪問の際、私達は各国大使館員が自国の地雷状況をあまり知らないのではないかと思って訪れる国の地雷についてのいろいろな資料を用意して行きました。まず、オタワ条約を知らないだろうと思って、条約を持って行きました。しかもロシア大使館にはロシア語、キューバ大使館にはスペイン語などのその国の言語で持って行きました。それが出来たのは、昨年11月に出た、ランドマイン・モニターレポート2005に十数か国語の条約文が付録のCD-ROMの中に入っていたからです。また、CD-ROMの中には世界190ヶ国の地雷事情が全て入っています。ICBLの活動はこのような出版物を毎年出して、どの国でも地雷廃絶運動が出来るようにしているのです。また、私達は条約の要旨(条約に早く世界中の国が参加するようにする、一刻も早く地雷をなくすこと、犠牲者に援助すること、地雷の除去状況を国連事務総長に報告すること)をまとめて持って行きました。私達はオタワ条約に加入していない国の大使館を訪れた際には、その国の良い点(アメリカはオタワ条約に参加していないが世界の地雷除去活動に世界で一番多くの援助をしている。)はほめ、悪い点は悪いとはっきり言ってきました。その上でオタワ条約に入ってもらうよう言ってきました。そんな中、キューバ大使館に行った時には参事官からアメリカのグアンタナモ収容所があり、アメリカ軍がいつ攻めてくるか分からないので地雷を廻りに埋めているという話がでました。そして続けて「私は今あなたに私達にとっての地雷の必要性を説明したが、JCBLの他のメンバーにも我々の立場を説明したいのでJCBLにお邪魔したい。」という話ました。そのとき、はたと思い付きまして、他の大使館に行った時も、「今度JCBLが主催して、まだオタワ条約に参加していない国の大使館の代表を集めて条約に参加しない言い分を聞くようなパネルミーティングをやったら出てもらえるか。」と聞いたところ、「本国政府と相談して出る。」という解答がありました。ロシアもアメリカも同様な答えでした。それで私達は今年のなるべく早い時期に、まだオタワ条約に参加していない国の大使館員を集めて彼等の言い分を聞くような会をやろうと考えています。
 私達もアメリカやロシアその他の大使館に行くなどとは夢にも思っていなかったのですが、チョウチョの圧力で各国大使館に行ってみると、思いの他コミュニケーションがはかれました。今後はそういう機会を通じて一日も早く、彼等がオタワ条約に参加する様くり返し働きかけて行く道が開けてきました。
その他の22の大使館には大使宛、2つの友好協会(アルメニア、トンガ)には大統領宛の手紙を添えてチョウチョのレイを郵送しました。訪問が終わっていない中国には訪問の約束を取り付ける努力を続けます。中国は何度も会見の申し入れをしていますがなかなか会ってもらえない状況です。北朝鮮は大使館に代わる朝鮮総連と交渉をしましたが、「意図は判る。朝鮮総連は地雷廃絶に反対ではない。しかし地雷問題のような政治問題にかかわる立場に無い。北朝鮮を訪問する機会があればその時に持参しては?」とチョウチョの受け取りを拒否されました。また、ソマリアは政府も友好協会もありません。この2ヶ国は保留としてあります。(参照: チョウチョ・メッセージ用紙の集計表)

 JCBLとしては「ちょうちょキャンペーン」のお陰で次のような大きな収穫がありました。
1)JCBLの活動の中に、オタワ条約にまだ参加していない国々の在日大使館の大使と直接手紙の交換をしてオタワ条約への参加を促し、また、アメリカ、ロシアほかの大使館を訪問して今まで諦めていましたが、これらの国々とも地雷廃絶についての意見の交換をしようという意欲が湧いてきました。
2)大使館訪問の開始が12月となり、万博終了後から大幅に遅れたことは残念でした。しかし11月23日に発表されたICBLの2005年版の「ランドマイン・モニター報告書」のその国に関するページの写しを大使館訪問時に手渡して最新の地雷事情を説明し、同報告書の「要点」と「オタワ条約」の英語版(ロシヤ大使館にはロシア語版、キューバ大使館にはスペイン語版)を渡し、その上でオタワ条約への参加を促すことが出来たのは大変に良かったと思います。(中国大使館に中国語版を、イラク大使館にアラビア語版を渡すことも可能である。)
3)私達の訪問に備えて自分の国の地雷事情を勉強して準備していた大使館もありましたが、私たちは「ランドマイン・モニター報告書」のお陰でそれより新しい情報を述べ、相手の国の地雷政策の良いところは褒め、最近の地雷使用の事実があればそれを指摘して、オタワ条約に入っていないのは残念であると述べることが出来ました。 JCBLが世界の多くのNGOと手をつなぐ、ICBLの一員として地雷について新しく正確な情報を持つNGOであるという立場で話を運ぶことができました。大使館側もJCBLに対する信用を深めたと信じられます。
4)キューバ大使館のロペスディアス参事官は、キューバがオタワ条約に参加できない理由をあなた(北川)一人でなくJCBLに行って皆さんに直接説明をしたいと言われました。その発言にヒントを得て、アメリカ、ロシアほかの大使館の担当官に、JCBLがあなたの国の地雷政策を発表するシンポジウムを企画すれば参加するか?と尋ねてみましたところ、各大使館とも参加の姿勢を示ました。これを受けて、JCBLとしては、2006年の活動計画の中に、オタワ条約未参加国の大使館と日本の一般市民で地雷問題を考えるシンポジウムを開催しその席でこれらの国々にオタワ条約への参加を促すことを考えるようになりました。対話の道が開けたのは成果だと思います。
5)オタワ条約に署名をしたが未批准の6ヶ国(ブルネイ・ダルサラーム、クック諸島、ハイチ、インドネシア、マーシャル諸島、ポーランド)をこれまでオタワ条約に参加している国と分類してきました。しかし、これらの国々は1997年12月3日、4日の署名開始の日に出席したその国の代表が当日の雰囲気に乗って署名をしただけではないか?と思われます。8年たっても本国が批准しないことはそれを示しています。ICBLのホームページも、これまでは非締約国(States not Parties)を40ヶ国としてきましたが、最近は未批准の6ヶ国を加えて46ヶ国としています。従って、今後の「ちょうちょキャンペーン」の対象にもこれら6ヶ国を加えることになっています。
6)「ちょうちょキャンペーン」の第2弾を2006年以降も実施して、愛知万博への参加で盛り上がった地雷廃絶運動を、更に広く盛り上げようという気運がJCBLおよびボランティアの間で盛り上って来ました。
7)JCBLが活動を行う上の制約は、運営委員が各所属NGOの責任者として時間的に束縛されていて、ある特定の活動の実施に全委員がまとまって専念できないことでした。「ちょうちょキャンペーン」は、委員会の承認を受けた少数の委員が責任を持ち、大勢のボランティアの協力を活用する形で大きな活動を実施できることを示ました。今後もボランティアの皆さんの力を生かして「ちょうちょキャンペーン」を進めていきたいと考えています。
 以上、「ちょうちょキャンペーン」のその前とその後をご報告し、JCBLの地雷廃絶運動へのご協力にお礼を申し上げ、今後の更なるご支援をお願いする次第です。 

 今日はせっかくの機会ですので、ランドマイン・モニターレポート2005について4点だけお話したいと思います。皆さんもこれから地雷関係のキャンペーンをしていただく機会があったら参考にしてください。お手元のJCBLニュースおよびランドマイン・モニターレポート2005の表を御覧ください。
 まず、オタワ条約に参加している国が何ヶ国あるかという事です。オタワ条約に署名または批准した国は148ヶ国あります。署名したけれど批准していない国が6ヶ国。未加入の国が40ヶ国あります。ウクライナはこの報告が出来た2005年11月時点では批准していなかったのですが、12月27日に批准しました。先ほどの148ヶ国にはウクライナを入れてありますので、現在のオタワ条約締約国数を言う時には此の数字を使ってください。
 次に2004年8月以降に地雷の被害のあった国は58ヶ国8地域となっています。地域というのは未だに国として国際社会に認められていない、台湾、コソボ、ソマリランドなどを指しています。台湾の被害は台湾本島ではなくて、金門島という島で起こっています。この島は対中国の防衛最前線で地雷が海岸線に埋設されています。同時に此の島では中国からの密輸が盛んに行われていてその密輸業者たちが地雷を踏んで被害に遭っているのです。
 三番目は地雷/不発弾の問題のある国となっています。83ヶ国8地域あります。この中で皆さんが意外に思われる国に「デンマーク」があります。この国には第二次世界大戦の時にドイツが埋めた地雷がまだ残っているのです。フランスはエチオピア南部の紅海入り口にあるジブーチに地雷があります。ユナイテッド・キングダムの場合はフォークランドに地雷が埋設されています。
 四番目は2004年5月以降に対人地雷を使用した国、非国家主体です。非国家主体とはNon State Actorsで要するにゲリラです。例えばブルンジのFNL rebelsは解放戦線です。ロシアの場合は政府とゲリラ双方がチェチニアで地雷を使ったという事です。オタワ条約を批准した国が5ヶ国と批准をしていない国が8ヶ国入っています。オタワ条約に参加していながら地雷を使用したというのは非常にけしからない事です。参加国はいずれの国もICBLの会議の席上では地雷を使っていないと言っているのですが、実際には使ったという報告がNGOからされています。
 五番目は2004年に対人地雷を製造したか、製造設備を持っていた国として15ヶ国があげられています。
 六番目として年別の世界全体の地雷対策援助費をあげました。1999年から2004年までに25億3千万ドルが援助されました。
 七番目は2004年の地雷対策援助費の額が多い国から並んでいます。トップはアメリカで9650万ドルです。日本は第3位で4280万ドルです。しかしこの日本の数字は私達JCBLが外務省の報告に基づいてICBLに報告した数字の4020万ドルと違っています。
 八番目に日本だけの援助額を年代ごとに並べてみました。これもJCBL報告と違う数字の年がありますが、国連報告を元にしたためです。
 九番目に地雷犠牲者に対する援助額を見ます。私達JCBLは外務省に、地雷除去のための援助額が多額なのに比べ犠牲者支援にたいする援助額が少なすぎると言っているのですが、世界的に見ても同様な傾向にあります。ちなみに2003年は日本はゼロです。2004年は186,616ドルですが、これも私達が報告した数字の437千ドルと違っています。
 最後の表は各年のランドマイン・モニターレポートの主要な数字を表にしたものです。この中で良く皆さんに聞かれるのが地雷埋設数なのですが、これはランドマイン・モニターレポート2000から発表されていません。ICBLとして数は無意味だと判断したからです。対人地雷の社会的な影響は一個でも百個での一緒だという考えです。現在では地雷の個数の代りに地雷の被害のある面積を問題にしています。もし、皆さんが地雷の埋設個数を尋ねられたら、ランドマイン・モニターレポート1999年の数字に基づき6千万個から7千万個と答えてください。地雷の犠牲者の数も1万5千人から2万人とお答えください。今日お持ちした表が皆さんの活動に役立てばと用意しましたので、ご活用ください。
 さて、資料は用意していませんが、対人地雷でない地雷のお話を少ししたいと思います。対車両地雷です。JCBL会報34号に写真があります。金タライから棒が突き出たような格好をしています。対車両地雷は人に危険は無いと言われていますが、実際には人が踏んでも爆発する対車両地雷もあり、犠牲者も出ています。結果として対人地雷と一緒だから制限すべきだと言う議論が今起こっています。これについては今後も議論していかなければならないと思います。オタワ条約で禁止されていないという事で今もこういう地雷を作っている国があります。
 もうひとつ、アメリカは2006年までにオタワ条約に参加するとクリントン前大統領が約束したのですが、ブッシュ大統領はこれを反古にしてオタワ条約には参加しないと言っています。これは大きな問題です。
 私の話はここまでとします。

(このあと質議の時間が設けられた)
Q:対車両地雷の問題などオタワ条約の曖昧な部分をどうして行くのでしょうか。
A:昨年11月にケニヤでオタワ条約の見直し会議がありました。その中で条約の曖昧な部分を見直し明確にする必要性が説かれました。この対人地雷ではないが、敏感な信管を備え、人が触れると爆発する地雷もオタワ条約で禁止されるべきだと提案されたのですが、日本やドイツなどが反対しました。曖昧なままにしておいた方が、未参加国を参加させやすいというのです。ICBLの主要メンバーの中にも同調する雰囲気が生まれて来て提案がそのままになっているのが現状です。曖昧な問題と言えば、日本国内の米軍基地の問題もあります。米軍基地といえども日本領土だという意見がありますが、日本政府は米軍基地は日本の領土ではないと言っています。従って米軍基地内の地雷に日本政府は関知できないとしています。これも曖昧な部分です。


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